ふふふのふ

思考の整理のために書いています。雑記。

瞬間に名前をつけてみる

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 本棚の整理をしていたとき、「カキフライが無いなら来なかった」という本が出てきた。わたしは、人に薦められた本はとりあえず買ってしまう。買うのと読むスピードが比例していないから、積まれている本が多いけれど…。

ぱらぱらとページをめくってみる。自由律俳句の本で、おもしろくてすぐに読んでしまった。俳句というと、四季の情景や温度や感覚を思い浮かばせるような言葉を使って、みずみずしく詠うものを思い浮かべるが、これは普段の何気ない瞬間を切り取ったものだった。読んでいて一番驚いたのは、なんでもないことに名前をつけてもいいんだ! ということである。「灯油のメロディ」というフレーズだけで、冬の澄んだ空気や、彩度が低めの情景が頭に思い浮かぶ。この本には、現代の都会の四季が詰まっているようだった。

 

読んでいてなんだか自由律俳句を作りたくなってきた。とりあえず、自転車を漕いでるときに思った「『春の終わり頃の風は夏の匂いがするね』と言う相手がいない」というのを自由帳にメモした。この本を読んでから、駅前にある古い焼き鳥屋の看板のフォントが丸文字だったとか、地下鉄から地上に上がるときの階段に入りこむ光がまぶしすぎるとか、かなりどうでもいいことが気になるようになった。こんな瞬間を言葉にしていいなんて知らなかった。


なぜこの本をおすすめされたのかはわからない。Amazonでさえ、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と、おすすめする理由を教えてくれる。けれど、なぜ薦めたのかを聞くのは野暮なので聞かない。その前に、この本は誰に薦めてもらったのか思い出せないなあ、と、思った土曜日の夜。そうだ、明日、鴨ランしに行こう。