ふふふのふ

思考の整理のために書いています。雑記。

大掃除で出てきた日記1

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「茶色い弁当」

わたしは遠足の嫌いな小学生だった。特に弁当の時間だ。

わたしの弁当は、開けるといつも茶色いおかずが敷き詰められていた。

唯一、ほかの色は玉子焼きの黄色。黄色のほかは全て茶色。当時、弁当を見せ合うことが流行したが、わたしは決して見せなかった。わたし以外、みんなカラフルな弁当だった。とてもうらやましかったことを覚えている。

わたしの両親は共働きだったため、ごはんの用意は全て祖母がしていた。弁当も祖母が作っていた。祖母の料理は大好きだ。ただ、弁当になると話は別。味に文句はない。問題は、見た目なのだ。一度、不覚にも弁当を見られたことがある。その日から、わたしのあだ名は、茶色ちゃんになってしまった。

わたしは祖母に、「違う弁当にして」と言った。作ってくれているのだから、さすがに「茶色いおかずは嫌」とは言えなかった。

遠足の日、わたしは楽しみだった。今日の弁当はさぞかし色とりどりなのだろうと。祖母も、「今日は面白い弁当ぞな」と言って渡してくれた。開けてびっくり。茶色だった。しかし、いつもの茶色いおかずではない。弁当に入っていたのは、蕎麦だった。手打ち蕎麦。一本取られた気がした。もう笑うしかなかった。

数年後、母が弁当を作るようになった。母の弁当はカラフルだ。本来、この弁当に喜ぶはずだが、なぜか開けたとき、茶色じゃないとがっかりする。